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【書評】『デフレは終わらない』」上野泰也著
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■通説を疑い真実を浮き彫り
「金利は上がりません」。昨秋、本書の打ち合わせの席で著者は言いました。ゼロ金利政策解除から1年、「長期固定へ借り換えを」という住宅ローン特集が大々的に組まれ、世間の関心も「上がるか下がるか」ではなく「いつ、どれだけ上がるか」に収斂(しゅうれん)されていたころの話。
拙宅のローンを変動金利で借りていた私は、エコノミストランキングで6年連続首位となった著者の言葉を担当編集者が信じなくてどうすると、借り換えを主張する妻を説き伏せました。それから半年。著者の予測は見事に的中しました。おかげさまで本書も発売後すぐに増刷となりました。
本書のテーマは「騙(だま)されない」です。政府発表やマスコミ報道など、私たちが盲目的に信じがちな経済の通説に鋭くメスを入れ、日本経済の実態を暴きます。経済に関する情報はスポーツや芸能のそれとは違い、日々の生活に直接影響を及ぼします。それだけに見聞きした情報を自分でよく検討し、情勢を的確に把握しておかないと、実生活でも損をすることになります。
昨今、原油高や資源高を背景に物価が高騰しており、これを背景にインフレの到来が喧伝(けんでん)されています。しかし著者は、市場の価格形成メカニズムや少子化社会の到来から考え「鋼板価格が上昇しても自動車が値上がりしないのはなぜか?」とインフレ到来説を切り捨てています。そのほかにも地価、為替、雇用などについて、丹念な検証を経て次々と真実を浮き彫りにしていきます。(東洋経済新報社・1680円)
東洋経済新報社 斎藤宏軌

