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【青雲の大和】(216)国威をもって (2/2ページ)
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そういって、しばらく考えるふりをしていたが、
「それではこういたしましょう。わが女王からの申し入れということで、身代わりの者を二人だします。貴官はその二人をつれて山城へもどり、大使、副使救出の交渉にあたってもらいたい。もちろん二人は身代わりであれば、たとえ殺されようと、こちらは厭(いと)いません」
へいぜんとして救出策をのべたてた。
−−新羅の狡猾(こうかつ)さだ、
と、文麻呂は思った。大和使節団の難を利用して、とりあえず反女王派の暴発をくいとめ、時をかせぎ、なんとか話しあいにもちこんだうえで、状況をみて鎮定するつもりなのである。
「よろしい、やってみましょう」
文麻呂はいった。
「山城でのようすからみて、相手がうけいれるかどうか疑問はあるが、それしか手がないといわれるのであれば、いたしかたない。わたしは夜明けを待って山城にもどる」
その夜、金春秋は幽閉されている大和の大使、副使の身代わりとして、兵部(へいぶ)の次官、守勝(しゅしょう)と、もう一人、君解(くんかい)という人物を指名してきた。
君解は顔も体つきも、ふしぎなほど金春秋に似た男である。側近というより、いわば影武者といった感じだが、おそらく金春秋は自身がこの交渉を主導していることを●曇(ひどん)一派に知らしめるため、あえてこの男を明活山城に送りこむつもりなのである。(●=田へんに比)