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【青雲の大和】(214)国威をもって (2/2ページ)
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王宮の南門(正門)に着くと、文麻呂は静まりかえっている明け方の宮廷にむけ、大声で告げた。
南門はそれじたいが寺の本堂とみまがうほどの大きさで、夜間は厚い扉をぴったりと閉ざしている。両側は高い塀(へい)が延び、外部から王宮のなかをうかがうことはできない。
門のまえで、文麻呂はもう一度、新羅語でわめくように告げた。すると、門の小窓があいて不審そうにのぞく衛兵の顔がみえた。
「兵部(へいぶ)の大監(たいかん)に至急告げよ。●曇一派の反乱である」
大監(次官)は守勝(しゅしょう)といい、四年まえ、文麻呂の交渉の相手になった男である。
−−●曇の反乱、
ときいて、衛兵らの態度が変わった。●曇は重臣の最高位の上臣(じょうしん)の地位にある。末端の兵もことの重大さがわかるのである。
衛兵らは数人で話しあっているようすだったが、やがて門があけられ、文麻呂は兵二人の監視をうけて、詰め所に招じ入れられた。
他の者は兵部への連絡に走っている。
静まりかえっていた早朝の王宮が、しだいにざわめきだしたあと、旧知の守勝が部下をひきつれて急ぎ足でやってくるのがみえた。
「●曇閣下が兵を挙げたと? そのようなことを貴官はどこできかれたのか」
兵部の次官としては、なんとも間(ま)のぬけた問いである。
「なにをいうか、明活山城からきょうにも攻めてくるぞ。ただちに兵をあつめられよ」
文麻呂は怒鳴りつけるようにいった。(●=田へんに比)