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【青雲の大和】(213)新羅の砦 (1/2ページ)
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唐の大将軍、徐世勣(じょせいせき)の名を玄理(くろまろ)はあえて、なんども口にした。そのたびに●曇(ひどん)、廉宗(れんそう)が怯(ひる)むのをみると、言を鋭くしてこの者どもの策謀の不当さを責めたてた。
「もう一度いう。いま、唐から新王をむかえ、唐の大軍をひきいれようというのは、祖国を裏切る売国的行為である。新羅(しらぎ)は唐の属州と化し、唐の先兵として半島侵略の手先に使われるのは眼にみえている。いまこそ、あなたがたは女王のもとにすべての臣民を結集して、唐の野望から国をまもらなければならない。そのためには大和はいかなる支援もおしまないであろう」
隋、唐三十年の歯切れのいい漢語に圧(お)されたか、●曇はさきほどまでの脅迫めいた態度をすてた。かわって投げかけてきたのは、この男なりの反論だった。
「されば、大使に問う。新羅をはじめ半島三国が相攻伐する戦乱は、ここにいたるまでどれほどつづいているか」
玄理が答えないでいると、
「ざっと三百年である」
そういったあと、たたみかけるように、
「その間、大河ほども血が流されたが、それでもなお百残(ひゃくざん)、句麗(くり)がわが国へ攻めこんでくる」
と、百済(くだら)、高句麗への蔑称(べっしょう)をつかって述べたてた。
「もういい、戦いはもうやめるべきである。しかし、たがいに三百年の積み重なった恨みがあって、やめることはできない。ではどうすればよいか」
そこで出てくる結論が、
「大唐から王と天兵をむかえ、半島三国を一つに統合していただくことである」