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【読む、観る(1)】花田紀凱の週刊誌ウオッチング「パンダ“貸与”で喜んでいる場合じゃないだろう」、ほか (4/5ページ)

2008.5.12 15:47
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 一昨年の暮れ、僕の母は他界した。入院中、昼夜を問わず看病を続けた父。そして最後まであきらめなかった母。あの時のふたりの姿を忘れることはないだろう。本書にのめり込んでしまったのは、その時の光景と物語の一部が似ていたからかもしれない。

 「私はもうすぐ死ぬの、会いにきて、もう一度だけ」。15年前に別れた妻から、ヴァンサンは突然、手紙を受け取る。妻との思い出を忘れさることで、虚しい日常をやり過ごしていた彼は、瀕死の妻のもとへ向かう。離婚の原因となった娘の失踪。それさえも語りあうことで、長い間、お互い心の奥底に隠していた愛を確信するようになった…。

 しかし、彼らと僕の両親には決定的な違いがあった。それは、僕の両親がそれまでも人生を苛烈(かれつ)に生きていた点だ。外交官の妻として母は、テロが多発する国であっても、日本に帰らず父と生活をともにした。ヴァンサンと妻は、娘の失踪という悲しみを分け合い共に人生を進めるべきだったのか、しかし、そんな正論は所詮(しょせん)は他人事なのかもしれない。娘を奪われた当事者にしか分からない深い闇なのであろう。

 そしてヴァンサンは言う。「別れずにいられたのだろうか? あきらめるのが早すぎたのだろうか? 今となっては遅すぎる、これから道は終わりを迎えるのだから。人生はこうして、引き返せないように、2度目のチャンスはないようにできている」。夫婦愛とともに、この物語がほのかに暗示しているのは、「限られた人生をどのように生きるか」ということだろう。本書は、生きる覚悟と死ぬ覚悟、生きる苦しみと先に逝く悲しみを私たちに伝え命のはかなさ、尊さを問いかけているような気がしてならない。

 私は今、ヒマラヤにいるが無事に生還したら娘と限られた時間を大切に過ごしたい。

■花田紀凱の週刊誌ウオッチング

 7日、胡錦濤主席との会談後、福田総理は共同記者会見で東シナ海のガス田開発について「大きな進展があった。長年の懸案に解決のメドが立った」と得意満面だった。

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