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【読む、観る(2)】中国の赤い皇帝描く『トウ小平秘録』ほか (5/5ページ)
このニュースのトピックス:伝統芸能
『遊女のあと』は、徳川幕府の八代将軍、吉宗の時代を描く。江戸の御家人、高見沢鉄太郎は男と逃げた妻を追い、筑前(今の福岡県)の漁師の女房、こなぎは謎めいた異人を助けるために夫の家から逃げ出し、東と西からそれぞれ名古屋をめざす。名古屋にたどりついた2人は偶然出会い、引かれ合うが、質素倹約を柱とする緊縮政策で改革を進める吉宗と、芝居小屋や遊郭を誘致、開放政策で名古屋を発展させようとする尾張徳川家の当主、宗春との反目に端を発する幕府と尾張徳川家の対立に巻き込まれる。
鉄太郎は体面を重んじる謹厳実直な直参の武士で、なぜ妻が自分のもとを去ったのか理解できない。こなぎも故郷の筑前では、理不尽な夫にやりきれない思いを抱きながらも従うしかなかった。そんな2人が、宗春の開放政策でにぎわう名古屋で、江戸や筑前では思いもよらない生き方をしている人々に出会うことで、しだいに変わっていく。
「江戸時代、これだけ立場の違う2人が出会い、心を通わせ合うことは本来ないはず。だけど死罪が一切行われなかったなど、リベラルな雰囲気で活気のある名古屋ならこんなこともあり得た。“入鉄砲と出女”のイメージで女性の旅行は厳しく規制されていたと思われているけれど、当時の資料を当たると、伊勢詣りなど女性も活発に移動していたことがわかる。歴史の常識でははかれない、江戸時代のエネルギーを感じ取ってもらえたら」 (栫井千春)
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もろた・れいこ 昭和29年、静岡県生まれ。平成8年『眩惑』でデビュー。15年、『其の一日』で吉川英治文学新人賞。19年、『奸婦にあらず』で新田次郎文学賞。