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【読む、観る(2)】中国の赤い皇帝描く『トウ小平秘録』ほか (3/5ページ)

2008.5.12 15:45
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 白洲正子からはじまったエッセー集は、折口信夫がトリになる。折口は、六代目菊五郎に興味をもち、もっとも愛していたと論考する。そして著者の少年時代に観(み)た「六代目の芸には観客の心を斬(き)る鋭さがあった」と書き、さらに「そこにこそ六代目の真骨頂があって、それ以外のどこにもなかった」と続ける。

 これが論理的な評価というのだろう。

 「舞台の実相に迫りたい」とする著者の、“観る”姿勢で貫かれた一冊。ところどころに美食の体験が挿入されているのがうらやましくもあり、憎らしくもある。

 (演劇評論家 藤田洋)

     ◇

 わたなべ・たもつ 昭和11年、東京生まれ。慶応大卒。東宝を経て演劇評論家。『女形の運命』など。

■『日と月と刀』上・下(文芸春秋・上2500円、下2150円)丸山健二著

 原稿用紙にして1300枚。大作である。著者初の歴史小説で、舞台は室町時代。「無名丸(むみょうまる)」という男の一代記だ。生まれてすぐに親から放り出され、2本の名刀を作り上げ、漂白の旅に身をまかせ、無碍(むげ)の境地を求める。望まぬまま刀で切り合い、鮮血を浴び、女に溺れ、生涯ただ一作の屏風絵に挑む。そんな男の話だ。きわめて強烈である。

 けっして読みやすい小説ではない。会話を示す鍵括弧は数回しか使われていない。「〜ではなく、〜でなく」と否定を重ねていく文体は、1頁以上を1文でまかなうこともある。五七調とも七七調とも違う独特のリズムや、頁の上下の余白を大きくとった贅沢(ぜいたく)な字の配置も特徴的だ。

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