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【読む、観る(2)】中国の赤い皇帝描く『トウ小平秘録』ほか (2/5ページ)
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本書の刊行によって、産経新聞社は1970年代に『蒋介石秘録』全15巻を、1990年代には菊池寛賞受賞の『毛沢東秘録(上下)』を、そして今また『トウ小平秘録』を世に送り出したことになった。
(国際教養大理事長・学長 中嶋嶺雄)
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いとう・ただし 産経新聞中国総局長兼論説委員。昭和15年、埼玉県生まれ。
■『舞台を観る眼』渡辺保著(角川学芸出版・1995円)
演劇に構成があるように、この本にも構成がある。白洲正子からはじまり、最後は折口信夫。中幕風に三島由紀夫と久保田万太郎という、およそ結びつかない2人の戯曲を論じ、その間に演劇批評やエッセーを挟んでいる。
白洲の本の取材に同行して、その人柄に直接ふれてカルチャー・ショックを受けた「旅日記」が興味ぶかい。著者は、この実業家夫人で能に造詣(ぞうけい)の深い、すぐれた文章家に憧(あこが)れ、その生き方を学ぼうとしている。
久保田万太郎の戯曲を評した石川淳の「東京の下町に“実在の原型はありえない”。ご当人が『浅草』と書いたにしても、今はもとより、そういう浅草はかつて存在しなかった」という一節から、久保田戯曲の反リアリズムの特質を引き出していく。
その論法は、対象を分析して3点とか4点とか、整然と形をととのえて喝破してみせる。学生時代に加藤周一の『政治と文学』によって目をひらかされた。「私は芸人が名人の芸を盗むように加藤周一の文章の芸を必死になって盗んだ」と書く。
なるほど。論理とはそうしたもので、さまざまな芸能は論理の剣によっていとも明快に切り裂かれていく。だから、歌舞伎ばかりでなく、近代劇も、ベジャールも、大野一雄も同一線上で批評できるのである。