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【読む、観る(4)】12編それぞれに自分を見る『ツバメ記念日』ほか (3/5ページ)
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しかし、痛みを決して自己否定に向かわせないのが、重松清という作家なのだ。わたしはこの人たちに繋がっている。わたしはわたしを愛しいと感じる。小さな、けれど確かな肯定を手渡してくれる一冊だった。
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しげまつ・きよし昭和38年、岡山県生まれ。本書は産経新聞大阪本社夕刊の連載「季節風」より平成18年10月〜19年9月掲載分を改稿・改題。
■大書評(2) 評・松坂健(評論家)
『ウォール街狂乱日記』ジョーダン・ベルフォート著、酒井泰介訳(早川書房・2100円)
ロンドンに出張に来たのはいいが、肝心のドラッグを忘れてしまった。そこで、ニューヨークの本社に電話して、秘書にコンコルド(まだ飛んでいる時代)で届けさせる。命令する方も変だが、そんな「お使い」をごく当たり前のように思っている秘書たちの存在だって相当、変だ。
途方もない富は、人間の常識をいつか麻痺(まひ)させてしまう。この『ウォール街狂乱日記』は、そんな富をめぐる愚行の数々を綴(つづ)った金ぴか版のピカレスクロマン(悪漢小説)風のノンフィクションだ。
著者のジョーダン・ベルフォートは、30代の若さで新規上場株の売買に目をつけ、ほとんど非合法ぎりぎりのテクニックで富を築き上げた男。いっそ爽快(そうかい)なのは、まるで反省というものがなく、露悪的な自伝を書き飛ばして、また一儲(もう)けという魂胆を持っていること。