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【読む、観る(5)】「笑点」の林家木久扇師匠が「旬を読む」、ほか (5/5ページ)

2008.5.12 15:40
このニュースのトピックス伝統芸能

 この病を患うと物が書けなくなるのだが、私は生来のバートルビー症候群患者である。治療方法は飽きるまで遊ぶ。ということで、療養のための歌舞伎町。友人とタイ料理を食し、ストリップを見てから、出会いカフェに入る。アンパンマンを歌い続ける謎の女の子と友達になり、3人で居酒屋へ。彼女の話が想像以上。借金、暴力、堕胎、愛する人の病死…淡々と語られる携帯小説のような人生。携帯もなく、ストーカー被害で家もないというので、おれがあんたに家を探してやる!と、知人に電話で間借り交渉。

 女性が酔いつぶれて寝た瞬間、友人が「めろんさんもういい…」。よく見るとバッグに携帯が。あれ? 「白血病の弟とか、あきらかに虚言じゃないですか…なんで信じられるんですか」「いや、普通にあるあると思って…」「ないない!」。リアリティーにどうもズレがあるらしい。起きた女子なぜかバツが悪そうな顔。でも心配なので携帯番号を教えておく。

 帰って机に向かう。書けない。『バートルビーと仲間たち』を拾い読み。スランプ脱出法の本だと思い編集さんに送っていただいたのに…むしろ虚無感が増す。書けないということを書く、というのは一見逆説に思えるものの、行き詰まった作家の方法論としてはそう珍しくない。結局のところ私も、書けないことについて書かれた本のことを書いてなんとか書けない状況を打開しようとしているわけで…バートルビーの迷路は深い。

       ◇

 うみねこざわ・めろん 昭和50年、大阪生まれ。著書に『左巻キ式ラストリゾート』『零式』、共著に『嫌オタク流』。短編に「オフェーリアの裏庭」(「群像」4月号)。

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