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【読む、観る(5)】「笑点」の林家木久扇師匠が「旬を読む」、ほか (4/5ページ)

2008.5.12 15:40
このニュースのトピックス伝統芸能

 父さんは畑を借りて農業をしていた。しかし、畑は別荘地用に売り払われた。そして皮肉にも、別荘建設の手伝いをするしか生計を稼ぐ術はない。母さんは蚊帳(かや)を作って家計を支えるが、需要は限られている。生活はどんどん苦しくなり、あるときから、ティンがラジオを作る工場に働きにいくことになる。

 つましく真面目に暮らしていても、正直者がちっともむくわれない社会の仕組みがせつない。日本も搾取しているのではないかと、申し訳なく感じてしまうほどだ。

 だが、この物語は終始おだやかでやさしい。貧しくとも家族の絆(きずな)は強く、いつもお互いを思いやっている。そのなかで、家族を守りたい気持ちと、絵に対する情熱がひとつになり、ノイが天性の才能を開花させていく様子がまぶしく、頼もしい。

 美しい傘の先にひろがる、リアルな物語。ほんの少し、想像力を働かせることができれば、世界観は大きく変わる。それが異文化への理解につながっていくだろう。

    ◇

 Carolyn Marsden 米国の児童文学作家。メキシコ市生まれ。

■仕事の周辺  海猫沢めろん(上) バートルビー戦記

 夕方起きて原稿を書こうとするも、気づいたら夜。あきらめて歌舞伎町に出かける。物書きの病のうちにバートルビー症候群というものがある。小説とも評伝ともつかぬ不思議な書物『バートルビーと仲間たち』に初出するこの病名は、H・メルヴィルの『代書人バートルビー』に由来している(バートルビー氏は、何を頼んでも“I would prefer not to”「せずにすめばありがたいのですが」としか言わず、書くことを拒否し続ける謎の人物)。

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