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【産経児童出版文化賞】大賞『ぼくらは「コウモリ穴」をぬけて』ほか、受賞7作品を紹介 (4/4ページ)
■ニッポン放送賞 すとうあさえ文、さいとうしのぶ絵『子どもと楽しむ行事とあそびのえほん』(のら書店・1365円)
1月から12月までの1年間の伝統的な行事と、昔から伝えられてきた子供を囲む家庭での遊びとが、昔なつかしいタッチの素朴であたたかな絵と、わかりやすい説明文で次々に登場してきます。
例えば、春ならば「お彼岸」の意味と「ぼたもち」のこと。夏ならば「七夕」の由来や「笹飾り」の作り方。秋ならば「お月見」が「芋名月」と言われることについてや、縁側に供える「おだんご」や「秋の七草」のこと。冬ならば「冬至」の意味や「ん」のつく食べ物を食べること、それに「ゆず湯」のこと、などなど。
本の作りが小型でハンディーなのですが、幼い子供にとっては、この小ぶりであることが、かわいらしい手で本を持ち、描かれた絵をじっくりと見ながら、本を愛するようになる、ひとつのポイントになるように思います。
色合いも穏やかで、ほのぼのと、とてもよい感じです。
(白鴎大教授 荒井洌)
■翻訳作品賞 ユン・ソクチュン文、イ・ヨンギョン絵、かみやにじ訳『よじはん よじはん』(福音館書店・1155円)
小さな女の子が、お母さんに頼まれて、となりの店に時間をききにいく。おじさんが教えてくれた時間は「4時半」。女の子は、忘れないように「よじはん よじはん」とつぶやきながら家に戻ろうとするのだが、途中で水を飲んでいるニワトリを見つけ、アリの行列をたどり…と、さんざんに道草をくってしまう。
とっぷりと日が暮れて街灯がともるころようやく家に帰ってきた女の子は、「かあさん かあさん いま よじはん だって」。心配して縁側に出ていたお母さんと女の子が視線をかわす場面からは、ぬくもりのあるこの家族のありようも伝わってくる。
日本統治下の1940年代に朝鮮語の響きを伝えようとした詩人の詩に、若手画家が新しく絵をつけた韓国の絵本。時間に縛られずに「今」を生きる幼い子の世界が、隣国の昔の田舎の風景とともに、みごとに表現されている。読者の想像力に働きかける絵もいい。
(翻訳家 さくまゆみこ)