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【産経児童出版文化賞】大賞『ぼくらは「コウモリ穴」をぬけて』ほか、受賞7作品を紹介 (3/4ページ)

2008.5.5 07:37
このニュースのトピックス美術・芸術

■産経新聞社賞 本多明著『幸子の庭』(小峰書店・1575円)

 小学6年生の幸子が両親と暮らす都内の家には、亡き曽祖父が75年前に花嫁、久子のためにデザインした広い庭がある。現在、九州在住の96歳になる久子が、子供や孫たちを訪ねる旅は、親戚(しんせき)一同で準備する一大プロジェクトだ。

 幸子の母、靖子は、ジャングル状態の庭を久子に見せるわけにいかないと焦る。不登校で親に心配をかけていたことが影響したと感じた幸子は、電話帳の広告で気にいった造園業者に依頼する。翌日、派遣されてきた2人の庭師は、庭の手入れを手際よくおこなう。彼らの作業を見守る幸子は、庭木の話に耳を傾け、みずからも生気をとり戻していく…。

 幸子の視点から語られる10月末からの数日間の物語。不登校というテーマや、庭の再生が人間の癒やしにつながる筋立てを、幸子とかかわる職人の物語が支え、奥行きのある、また読後感のさわやかな物語である。

(白百合女子大非常勤講師 西村醇子)

■フジテレビ賞 中島晶子作、つるみゆき画『牧場犬になったマヤ』(ハート出版・1260円)

 捨てられていた子犬を通して、小さくとも命ある生き物を捨てることは良くないことで、してはならないことであると伝え、生き物の命の尊さを理解させてくれる。

 スーパーマーケットの裏に捨てられていた生後間もない子犬「マヤ」は、小学生の兄弟に発見される。兄弟は、団地住まいのために飼うことができないなどいろいろと困難な出来事に遭遇する。

 しかし、最後はマヤは兄弟と離別したものの、命を大切に思う周囲の人々の厚意から、運良く牧場犬として活躍する場を得ることができた。

 飼うことができない子犬をいかに育てるかという難問を抱えた兄弟の連帯感、親子の関係、周囲の人々の善意などそれぞれの気持ちの描写、子犬の動作がうまく書かれている。

 さらに捨て犬を作らないためには人間はどうすればよいか、本書を読んだ子供たちに考える機会が作られるとよいと思う。

(弁護士 小西輝子)

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