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【産経児童出版文化賞】大賞『ぼくらは「コウモリ穴」をぬけて』ほか、受賞7作品を紹介 (2/4ページ)
■JR賞 池田啓文・写真『コウノトリがおしえてくれた』(フレーベル館・1680円)
縁起がよい鳥として日本人に親しまれているコウノトリは、昭和46年を最後に野生で見ることはできなくなった。兵庫県立コウノトリの郷公園で、長年、コウノトリを繁殖させ自然に放つために活動してきた著者が、半世紀にわたるプロジェクトを紹介している。
そもそもなぜ、コウノトリを自然に帰す必要があるのだろうか。著者はそれを自らにも問いかけている。コウノトリが危機にひんしていた50年前、おそらくは強い農薬のために卵がかえらなくなった。著者は、ただ繁殖させ数を増やすだけではなく、地域の自然をコウノトリが住みやすい環境にすることにも尽力した。ただ一つの種の保存だけではない、広く地域の環境を足元から固める活動であることに気づく。
各ページの上半分には文章に応じた写真が並べられており、視覚的にも工夫されている。児童が人と自然のかかわりを考えるのに適した良書である。
(東京大大学院准教授 横山広美)
■美術賞 松谷みよ子文、司修絵『山をはこんだ九ひきの竜』(佼成出版社・1365円)
シュールな絵がなんともいい。シュールな絵というと、遠くからクールな気分で眺めていたいものもあるし、手にとったり身近なところに置いて見ていたいそれもある。司修さんのこの絵は、明らかに後者である。色も絵も、たちまちのうちに引き込まれる。
表紙の朱赤の見事なこと! そして、この9匹の竜である。竜ときたら、もう絶対コレ!だ。なんとなくとぼけている。なんとなくキュートである。そして、なんとなく含羞(がんしゅう)さえ感じる。わたしの手の中で、すぐになじんでしまったこの竜たち。
好きになるとわたしはすぐにまねてみたくなる。それで、まねてかいてみた。ところがまったく違う竜になってしまった。やっぱりこれは、「司さんの竜」である。わたしの竜はちっともアートしてくれない。予想したことだが、この違いが実にうれしく、楽しく心躍る。この竜から、絵本好きになる子がまた増えるはずだ。
(作家 落合恵子)