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【週末読む、観る】「パクリにサギに、紙のムダ!」花田紀凱の週刊誌ウオッチング (4/5ページ)

2008.5.4 08:48
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【書評倶楽部】〈資生堂名誉会長 福原義春〉

井上ひさし著『ボローニャ紀行』(文芸春秋・1250円)

 北イタリアの古都ボローニャ。ヨーロッパ最古の大学が創立された町であり商業の中心でもあった。町を支える人たちは自治の精神が強く、第二次世界大戦ではドイツ軍とファシストの黒シャツ旅団は至る所でパルチザンの抵抗に遭い、レジスタンス運動によって自力で町を解放した。

 戦後、革新市長が選出されるや、ローマの政府と衝突して政府の援助を断る代わりに干渉も拒否するという事件があった。しかしそれからはますます自らの力で文化の新しい波を生み、産業の力を高めて現在のヨーロッパの創造都市と呼ばれる都市のリーダー格である。30年間、ボローニャに恋した著者は、ついに敬意を表するためにボローニャに旅する。ミラノ空港に到着早々鞄(かばん)と現金を盗まれるというショッキングで日常茶飯事的な事件をはじめとして、この小ぶりな本はまるごとイタリアとボローニャに関連した楽しいあるいは哀しいエピソードが詰まっている。

 ボローニャが有名となった映画の保存と修復の複合施設「チネテカ」は、ヴィットリオ・ボアリーニ氏が中国の古い映画フィルムを探し出し上映しているうちに修復再生をする組合を作ったことに始まる。ボローニャ方式とも呼ばれるやりかたで公や私の援助が与えられ、利益が出るまで税は納めない。こうして世界中のフィルムの修復の注文が舞い込むようになってボローニャを有名にした。

 著者のボローニャでのいろいろなプロジェクトの現場視察からは次々教訓が得られることになるのだが、場所場所でインタビューを受ける人たちの答えもまた徹底している。イタリアの国政はどんなものかと問う著者に商工会議所の女性は言う。「自分の住んでいる所がしっかりしているなら、国がどうなろうとかまわない。これが私たちの本音ではないかしら」と。

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