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【お江戸単身ぐらし】(134)時代小説専門店を知る

2008.5.4 08:30
このニュースのトピックス文学・書籍

 先週、この欄でミステリー本から遠ざかっていることを自覚したところだが、単身生活を始めて読書時間は確実に増えた。一体何を読んでいるのか考えてみたら、時代小説だ。

 きっかけは、ウオーキングイベントで鬼平の世界を歩いたこと。ご存じ、鬼平親分は江戸中期に火付盗賊改役として実在した人物を浅草生まれの池波正太郎が江戸切絵図を手に自在に活躍させる捕物帳。そこここに聞き覚えたばかりの地名が登場する。本所、深川、小伝馬町。遅まきながら池波ワールドにはまった。

 ついで山形県鶴岡市に旅したのをきっかけに藤沢周平に手をのばし、市井の人を描かせたら山本一力も捨てがたい、いやいや宮部みゆきもいいか、松井今朝子の達者な吉原案内もよし、と読み進んでいくとキリがない。なにせ、これまでオジサンの世界だと手付かずだったから奥が深い。

 そんなわけで、てっきり東京に来たから時代小説にはまったと思っていたら、いや、いま時代は時代小説なのだという話を聞いた。

 「本の会」という出版関係者が集う小さな会に、縁あってときおり参加している。そこで東京・神田で時代小説専門書店を開いている時代屋グループ代表取締役、掛谷大介さんに出会った。そもそも時代小説専門店があるなんてことも知らなかったが、戦国ゲームや雑貨をそろえた店は昨年のオープン以来、大変な人気で、川崎市や長野県に店舗を広げている。もとはリサイクル本を扱う会社で、「15年間の実績から、もっとも回転率がいい本はコミックでもミステリーでもなく、時代小説」という発見から専門店を始めた。

 「平成に入って池波正太郎、司馬遼太郎、藤沢周平と巨匠を相次いで亡くしたが、一方でそのころから多彩な書き手が出始めた。扱うテーマが増え、ファン層を広げた」と掛谷さんはみる。全国から反応があるが、とくに関西圏からのエールが強い。「さすが歴史への造詣が深い」。いずれ出店したいと関西に意欲を燃やす。

 ところで、お薦めの本は? 「とても絞りきれないけれど、火坂雅志の『天地人』は読まれましたか」。いや、まだですが。来年の大河ドラマ原作本。必読。

(編集委員・石野伸子)

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