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【週末読む、観る】覚悟の整理整頓も…あさのあつこ「仕事の周辺」  (4/4ページ)

2008.5.4 08:27
このニュースのトピックス週末読む・観る

【児童書】

『先生と老犬とぼく』ルイス・サッカー作、むかいながまさ絵、はらるい訳(文研出版・1260円)

 子どものころ、尊敬する大人に信頼されて、大切な仕事(たとえば黒板ふき!)を任されたときの誇らしさや不安や緊張感は、生涯こころの奥底にあまずっぱく残っているのではないだろうか。小学校3年生のマーヴィン・レッドポストは、担任の女性教師ノース先生から、留守の1週間、犬の世話をするアルバイトを頼まれる。

 「先生は、どうして、ぼくをえらんだんですか?」とマーヴィンはたずねる。「あなたには、分別と責任感があると思うからよ」。先生は、まじめな顔で答える。

 マーヴィンはがぜん張り切って、老犬ウォルドーの世話を引き受けたのだが、老犬は先生と別れたさみしさから何も食べなくなってしまう。なんとか食べさせようとして、マーヴィンの悪戦苦闘が始まる。ドッグフードを自分でかじってみせて、「よし、つぎはおまえだよ」。老犬はクンクン鳴くだけなので、今度ははらばいで食べてみせたり。

 その一生懸命でこっけいな行動が、家族や、留守番の先生や、級友たちとのからみの中で、じつにユーモラスに描かれる。困難を克服してハッピーエンドとなってもおかしくはない展開なのに、なんと、老犬は大好物のレバーを食べた日に死んでしまう。

 落ち込むマーヴィンを、級友たちはなぐさめない。無責任にはやしたてる。留守番の先生も、マーヴィンの事情など知ろうともしないで、ますます問題児あつかいをする。マーヴィンは眠られない夜を過ごし、ノース先生の審判を待つ。

 先生の一言に胸が熱くなる。安易な同情やセンチメンタリズムを排して、日常生活のぶつかりあいの中に、人の強さや優しさを描くルイス・サッカーの面目躍如の作品である。

(児童文学作家 後藤竜二)

 Louis Sachar 1954年、米ニューヨーク州生まれ。本書は「マーヴィン・レッドポスト」シリーズの第4作目。

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