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【書評】『アメリカ狂乱』日高義樹著
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■独り勝ちで危機感をなくす
2008年のアメリカ大統領選挙戦は、狂騒を超えて今や狂乱状態にある、と著者は言う。ジュリアーニなど当初の有力候補はスキャンダルで次々に消え、民主党のヒラリーとオバマが醜い批判合戦を繰り返す。共和党はといえば、御年71歳のマケイン頼み。
これまでの大統領選挙は、アメリカの危機を救う偉大な指導者を選ぶ行為だった。大統領は国防と外交をにない、世界でリーダーシップを発揮する存在である。ところが、冷戦が終わりアメリカ独り勝ちとなって、アメリカ人には危機感がまったくなくなってしまった。世界のことよりも、自分の利益が大事。極論すれば、大統領など誰でもいいのだ。
こうした狂乱の状態にあって、大統領になるのは、消去法でいえばマケインしかいない。本選で求められるのは、やはり誰が一番アメリカ軍の最高司令官としてふさわしいか、という点であるからだ。
だが、マケインが政権をとっても、世界は混乱に向かうだろう。中国に対して強い主張をしてきたブッシュ政権が交代すれば、米中の緊張関係はなくなり、アメリカは中国の身勝手なやり方に押しまくられる。資源をめぐって中国・ロシアと衝突する可能性もあり、当然その危機は日本にもおよぶ。円安が進行し、石油と食糧は恐ろしく高くなるだろう。
アメリカが狂乱し、世界でのリーダーシップも危うい今、日本はよほどしっかりしなければ、共倒れである。世界は確かに転換点にあるのである。(徳間書店・1470円)
徳間書店一般書籍編集部 青山恭子

