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【人、瞬間(ひととき)】あの時代 作家・田辺聖子さん(80)(下) (2/2ページ)
このニュースのトピックス:文学・書籍
本が売れるようになると、「田辺さんも東京に行くんやろ?」とよく聞かれた。「東京なんか行かへんわ。新幹線も走ってるし、編集者が原稿取りになんぼでも来てくれてるわよ」。大阪で生まれ育った田辺には、東京移住の発想はまるでなかった。
そして何より、大阪弁にこだわった。テレビの普及が進んで漫才が放映されるようになり、市民権を得つつあった大阪弁。「戦後、大阪弁でラブロマンスを書いて打って出たの。大阪弁でもうけ話だったらわかるけど、私は大阪弁で“ロミオとジュリエット”をやった。大阪を舞台にした小説で、会話だけ標準語なんてヘンやったしね。なにより、大阪の笑いの文化を伝えたかった」
戦後、新しい小説家を待望する機運。全国に認知されるようになった大阪弁による小説。「まさに時代が後押ししてくれたのね」と振り返る。
恋愛小説に洒脱(しゃだつ)なエッセー、源氏物語などの古典翻訳、評伝、短編…田辺が紡ぎ出す物語のジャンルは際限がなく、80歳を迎えてなお饒舌(じょうぜつ)で自在な感性を輝かせている。
=敬称略
文 横山由紀子
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次回はジャズピアニスト、上原ひろみさん。

