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【週末読む、観る】(5)『のぼうの城』「弱者の誇り」描く時代小説 (4/4ページ)
【この本と出会った】『ビジョナリー・カンパニー』ジェームズ・C・コリンズ、ジェリー・I・ポラス著、山岡洋一訳(日経BP出版センター)評・サイバーエージェント社長 藤田晋
《一気に読了し起業を決意》
経営者はたくさん本を読む、そう思われがちだ。もちろん、間違ってはいない。しかし、繰り返し読む本となると、そう多くはない。
『ビジョナリー・カンパニー』を初めて読んだのは大学生のときである。当時、ベンチャーの広告代理店で営業のアルバイトをしていた。学生ながら将来、起業するという目標を持ち、まずは、目の前の仕事ができるようになりたいとがむしゃらに頑張っていたころだ。
毎日、新聞を隅から隅まで読み、アルバイト先の上司が読んでいた本をまねして読んだりと、一人前のビジネスマンになろうと、自分なりに一生懸命だった。
『ビジョナリー・カンパニー』も、若い社長が読んでいた本。「お前にはまだ、読むのは早い」。そう言われれば言われるほど読みたくなって、本屋に駆け込んだ。
一気に読み終えて、衝撃を受けた。自分もビジョナリー・カンパニーをつくろう、「起業」という目標がすとん、と腹に落ちてきたのだ。それまで、起業を目標にしていたものの、まだぼんやりとしか見えていなかった。
それが『ビジョナリー・カンパニー』を読んで、自分たちの手で、新しい時代に、時を越え生存し続ける企業を創(つく)るんだと意気込みを新たにした。
「21世紀を代表する会社を創る」という、今もこれからも変わらない、私の人生の目標がはっきりと決まった瞬間だった。
こうして、今の私と会社を形成するきっかけとなった『ビジョナリー・カンパニー』だが、10年という経営者経験を経た今は、初めて読んだあのときよりも、より理解が深まり、納得できることが多くなった。
バイブルという言葉は気恥ずかしいが、今でも手元において、たまに読み返し、自分の目標を再確認している。
〈メモ〉ふじた・すすむ 昭和48年、福井県生まれ。青山学院大卒。平成10年、ブログサービス「アメブロ」、ネット広告を展開する同社を設立、2年後、東証マザーズ上場を果たした。著書に『渋谷ではたらく社長の告白』(アメーバブックス)ほか。
ビジョナリー・カンパニーの概念は1994年、米スタンフォード大教授だった著者が提唱した。いつの時代にも共通する企業原則、基本理念(ビジョン)を明確に忠実に持ち続けることで、時代を生き抜く秘訣(ひけつ)を述べている。