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【週末読む、観る】(5)『のぼうの城』「弱者の誇り」描く時代小説 (1/4ページ)

2008.4.27 09:31
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【話題の本】『のぼうの城』和田竜著(小学館・1575円)

《「弱者の誇り」描く時代小説》

 異色の時代小説が売れている。主人公は戦国時代、武蔵国(現・埼玉県行田市)の忍城城主、成田長親(ながちか)。忍城は、天下統一を果たすべく豊臣秀吉が小田原の北条氏を攻めたとき、唯一攻め落とされなかった北条方の城として知られているが、その城主となると、かなりの歴史小説ファンでも「はて?」と首をかしげるだろう。

 無名の主人公、しかも武勇もなければ智力もない。農作業を手伝うことを好むが、恐ろしく不器用なために感謝されるどころか迷惑がられている。“でくのぼう”を縮めた「のぼう様」と領民に呼ばれ、しかし人気だけはある。主人公の人物像も異色なら、著者もこれが作家デビュー作。それでいて昨年12月の発売以来、7刷7万5000部と増刷がかかり、多くの書店の文芸書売り上げランキングで上位をキープしている。

 日本映画製作者連盟の脚本賞、城戸賞の入選作品だったこの作品に出合ったのが、小学館出版局文芸デスクの石川和男さん。「“のぼう”の長親が人心を掌握、2000人で石田三成率いる2万の敵を向こうに回して戦うことになる過程を一気に読ませる。エンタテインメントとして面白い」とほれ込み、小説化の運びになった。

 合戦ものには珍しく、20〜30代の女性から中高年読者まで読者層は幅広い。人気漫画家、オノ・ナツメのカバーイラストや、テレビの情報番組で取り上げられたことも追い風になっているが、降伏すれば領地は安堵(あんど)されるのに、弱者の誇りをかけて強大な敵に立ち向かった主人公の長親ら「敵も味方もさわやかな武者ぶり」(石川さん)からくる読後感の良さが支持されているようだ。映画化が企画されているというが、映像でも楽しんでみたい。(栫井千春)

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