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【週末読む、観る】(1)花田紀凱の週刊誌ウオッチング「ライバル誌の勝負がこれほどハッキリ出たことも珍しい」 (3/5ページ)
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【産経書房】
■『あぽやん』新野剛志著(文芸春秋・1890円)
《空港で働く旅行会社社員》
『あぽやん』って一体なに? と思われた方も多いでしょう。「あぽやん」とはAPO、つまりエアポートを意味する略語から派生した言葉で、旅行会社に勤める人たちの中で、空港で働く人々を指します。
裏をうがてば、本社から離れ、メーンの旅行企画にも携われないこの職場は、島流しのイメージもあります。そんな中で「あぽやん」たちは腐りもせず、お客さまが出発前にどんなトラブルに遭おうとも、笑顔で無事に出発させるプロ中のプロです。けれどここで活躍すればするほど、本社に戻れなくなることも意味します。
主人公の遠藤慶太は29歳。大手旅行会社、大航ツーリストの社員です。彼は融通が利かない性格が災いして上司と衝突し、企画部から成田空港支所に「飛ばされて」きました。遠藤は「ぜったいに『あぽやん』にはならないぞ、本社に返り咲くぞ」と誓いますが、他のスタッフの働く姿を見て心を動かされます。自分自身も、再入国許可証のない日系ブラジル人少女をシンガポールに連れ出そうとする男たちとわたり合い、絶対に出発しようとしない老婦人の話し相手になってあげ、なぜか予約が消えて旅立てない新婚夫婦の航空券を確保するために奔走するうちに「あぽやん」という仕事の面白さ、やりがいに目覚めていきます。
作家になる前は旅行会社に勤務していた新野さん。その経験が十分に生かされた、愉快でちょっとミステリアスな物語です。これから迎えるGW。空の旅のお供にこれ以上ぴったりな本はありません!(文芸春秋 谷口和人)