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【青雲の大和】(201)新羅の砦 (2/2ページ)
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この廉宗なる者が帰国するまでに、新羅にたいし手を打たねば危ない、そう考えて請安は急遽(きゆうきよ)帰ってきたというのである。
「なるほど、わかった。しかし、おそるべき地獄耳ではあるな。その話、どうしてつかんだ」
玄理はいった。留学中からそうであったが、玄理にはとうてい真似(まね)のできない請安の才能、特技である。
「玄理(げんり)よ、おぬし、わからんか。唐にとってこの謀計は、高麗(こま)を攻め、半島を征するための兵事でもあるんだぜ。唐軍を動かす大将軍なら、とうぜん知っていなければならんはずだ」
大将軍ときいて玄理は、おおっと声をあげた。
「徐世勣(じょせいせき)だな。会えたのか、徐世勣に」
「うむ、会えた」
「どうしている、元気か」
徐世勣の戎装(じゅうそう)した長身の逞(たくま)しい肉体と、そこだけは純粋なものを残している彼の眼の輝きを玄理は思いうかべた。
「いやあ、かなりまいっているようではあった」
「高麗征討がこたえたか」
「そう、事実上の敗退だからな。大将軍として苦しい立場におかれているのは、みていても気の毒なほどだった」
そんな状態にありながら、請安、玄理との友情に免じて最高機密というべき新羅の密謀をあかしてくれたのだという。