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【週末読む、観る】(3) (2/5ページ)
このニュースのトピックス:週末読む・観る
どこの国の人であれ、人間の会話や行動には数字が大きな影響を与えるものだ。本書の著者は日本語における「数」に関する種々の表現を考察する言語学者で、これまで主として、ものの数え方に関する論考を発表してきた。その著者が、今回はさらに範囲を広げて、古代から現代までの日本語に使われるさまざまな数にかかわる語彙(ごい)や表現に関して、精密な考証をふまえた蘊蓄(うんちく)を傾けた。扱っているテーマは、「ヤマタノオロチの首は本当に8本?」とか「日本人は『6』に悶絶(もんぜつ)する?」とか「奇数ゆえ、大相撲は女人禁制」とか、親しみやすく興味深いものばかりである。アイドルのウエストサイズに言及したタイトルは、いささか際物的なイメージを与えるが、しかし内容は決して通俗的なものではない。
人が何かを見たり聞いたりするときに、明確な意識による判断で行動するのではなく、無意識ないしは潜在意識のもとで展開する認識や行動の形態を「サブリミナル効果」というが、著者はそれをもじって、数に関する認識の背景を「数(かず)リミナル効果」と命名する。
日本のバーゲンは1980円という設定が常識だが、欧米に行くとそれが19ドル99セントとなって、値引き幅が微妙にちがう。そのことに気づき、日本と欧米の数字に対するとらえ方の違いを興味深く感じた人は世間にはおそらくいっぱいいるだろうが、しかしいったいなぜそうなっているのかを深く考えた人は多くないだろう。かくいう私も、もちろんその一人である。