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【週末読む、観る】(2) (4/5ページ)
しかし、中西によれば、民主主義先進国の英国でも、情意投合は庭園術になぞらえるほど高度な政治技術として重視されている。情意投合のない政治は「ゼロサム・ゲーム」だからだ。“ゼロサム政治”の危うさの例として、中西は20世紀初頭の英国で、予算案での上下両院の対立が、軍のクーデター寸前にまで発展した「憲法危機」を示している。
日銀総裁人事や暫定税率問題でチキンレースを繰り広げ、正面衝突してしまった、わが国会はすでにゼロサム・ゲーム化しているのかもしれない。「『情意投合』を、いかに透明性を高めつつ、時代にふさわしい文化と洗練さをもっておこなうか」という本論文の提起は重い。
もっとも、その中西も、大連立の失敗で当事者能力を失った福田、小沢に代わる人物を出せぬ現状を「究極の『どん詰まり』」と嘆くしかないところに危機の深さがある。
熱を帯びる地球温暖化対策に一石を投じそうなのが、東工大名誉教授、久保田宏の「バイオエタノールで自動車を走らせるべきではない」(中央公論)だ。
バイオエタノールは原料穀物が二酸化炭素(CO2)を吸収しながら再生産されるので、CO2増加に中立的とされる。米国は大増産を開始、日本政府も「バイオマス・ニッポン総合戦略」を打ち出した。
しかし、廃水処理など必要な関連作業も考慮すると、CO2削減効果は期待できず、ブラジルがエタノール増産のために森林を開墾すれば、「ゆゆしき事態」と久保田はいう。政府の総合戦略も「エタノールによるガソリン代替利用が、そのままCO2削減効果を現わすかのように書かれている」と疑問を投げかける。
国産穀物からのエタノールをガソリンに代えて使えば、CO2を増やす、とする久保田の見解には異論もあろうが、エタノールがCO2削減の特効薬であるかのような今の議論の進め方には、違和感を覚える。
同様に早期導入論一色となった排出権取引制度では、昨年、福井県立大大学院教授の岡敏弘が「排出権取引の幻想」(世界昨年11月号)で欧州連合方式の問題点を指摘、議論を巻き起こすきっかけとなった。