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【週末読む、観る】(2) (3/5ページ)

2008.4.20 08:18
このニュースのトピックス週末読む・観る

 人生でとても大切なもの、愛、喜び、創造力、寛容、勇気、友情、協力、学ぶ、希望について、著者は自分の半生を振り返りながらユーモアたっぷりに語ってゆく。もちろんそれはハッピーな話題ばかりではない。たとえば「9・11」やハリケーン・カトリーナの襲撃。言語を絶する体験をした子供たちのために何ができるかを考え抜き、すぐさま実践に移してしまう著者の姿は、感動的でアメリカの良心を感じさせる。

■『ムツゴロウの東京物語』畑正憲著(柏艪舎・1360円)

 動物王国、大自然のイメージが強い著者、ムツゴロウさんは北海道だけでなく、東京・青山にも拠点をもつ。この拠点を中心に、都会の側面を切り取った秀逸なエッセーが82編。ジーコに出会い、お気に入りのレストランで旬をいただき、大好きな「馬」やサッカーに酔う日々がつづられる。

 動物も登場はするが、舞台はあくまで都会。立つレッサーパンダや東京のノラ猫に思いをはせる。青山墓地で遭遇した、ベビーカーに乗せられた過保護な犬の描写には笑うと同時に、哀しくなる。

 漂うユーモアと広く大きな視点は、大人の男ならでは。産経新聞に連載中(24日付で終了)で、各編に添えられた自身の手によるイラストも味わい深い。

 謎の女性、エツ子の章は、泣ける。

【時評論壇5月号】論説委員・小林毅

《「ねじれ」にすくむ国》

 「ねじれ国会」の混迷は日銀総裁人事、ガソリン税の暫定税率期限切れで頂点に達し、「政治の機能不全」という言葉がすっかり定着してしまった。そんな状況を「経験したことのない惨状」と強い危機感を持って論じたのが、京大教授、中西輝政の「堕(お)ちる日本−福田康夫と小沢一郎の奈落」(文芸春秋)である。

 日銀総裁空席という国家中枢の機能マヒに、総裁など象徴的存在で金融・通貨政策に影響はないという政治家やメディアの冷笑的反応を「国家衰退の第二段階」と中西は警告する。危機に遭遇した人間はパニックに陥るが、次に「解決策がない」と思うと、「そんなものは存在しないかのように振舞う」というのだ。

 この危機にどう対処するのか。中西論文の本領はここからである。

 貴族院と衆議院の「ねじれ」が恒常的だった明治憲法下で、2年に1度は、政府予算案は不成立だった。その危機を「情意投合」、つまり、「まあ、そう固いことを言わずに」と野党の肩をたたき、水面下のやり取りで乗り切った。この手法は戦後も引き継がれたものの、今は「悪しき日本的慣習」とされている。

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