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【週末読む、観る】著者に聞きたい−高木敏光さん ほか (1/4ページ)
【著者に聞きたい】『クリムゾン・ルーム』(サンマーク出版・1680円)高木敏光さん
《虚実の入り乱れた物語》
主人公は、著者と同名の高木敏光である。インターネットの世界ではかつて本書と同タイトルの、密室からの脱出ゲーム《CRIMSON ROOM》を開発し、全世界から5億アクセスを超える怪物的ヒットを飛ばした気鋭のマルチメディアクリエーターとして、著名な存在である。38歳のとき、札幌市のコンピューターソフト開発会社に勤めていた。妻および8歳と5歳になる娘たちがいたことも、本書とまったく同じである。
では、本書は実話なのかというと「ドキュメンタリータッチで書きましたが」と前置きしながらも、あくまでも創作であることを否定しない。コンピューターゲーム業界に長く身を置いてきた自らの体験を十二分に踏まえており、物語は虚実入り乱れた皮膜にすっぽりと覆われている。
傍目には、順風満帆の生活をエンジョイしているかのように見える有能なゲームクリエーターの「私(高木)」の心の内側には「晴れることのない薄暗さがあった」。創造力が枯渇していた。その憂さを晴らすために、酒を浴びるように飲み、秘密カジノでのギャンブルにうつつを抜かしていたある日、こちらの存在にあこがれを抱く謎の青年Kからのメールを受信する…。
当初、2カ月で900枚を書いたという原稿は「あくまでも報告調の文体にして、私(高木)が大ヒットさせたゲームは、じつのところ他人が作ったものだったというコンセプト」を立てた。その後800枚に改稿し、さらに620枚にまで短縮して完成したときは、「どうしても描きたかった人間」が生き生きと動き回る、読み応えのある文芸作品に姿を変えていた。
小説デビュー作となったが「次作があるなら、この本を出してから私はどうなったかという、やはり虚実の皮膜でくるんだ続編のようなものを書いてみたい」という。
(宝田茂樹、写真も)
たかぎ・としみつ 昭和40年、北海道生まれ。平成16年にネット上に発表した、本書と同名のゲームがブレークして、一躍その名を知られる。