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【週末読む、観る】森洋子さんインタビュー&大森望さんの読書日記etc (5/5ページ)
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梟森南溟著『恍惚』(角川書店・1680円)『欲情』(講談社・1680円)
2冊の本がある。タイトルは『恍惚(こうこつ)』(角川書店)と『欲情』(講談社)。版元は違うのに同時に刊行され、双子のような装丁が目をひく。著者は梟森(ふくもり)南溟(なんめい)とある。はて。実は直木賞作家、坂東眞砂子さんと、坂東さんがタヒチに住んでいたころのパートナーだったジャンクロード・ミッシェルさんの共同執筆名。坂東さんは「文体なども含めて、個人では出てこないアプローチだった」と話す。
ふたりでテーマを話し合って決め、ミッシェルさんが仏語で書いたものをいったん英語に翻訳し、そこから日本語に起こしたのだという。そして、全体の構成と最終的な段階は坂東さんが担当した。「ややこしい」と説明する創作過程だが、そのかいもあって、日本とヨーロッパの感性が融合し、文字通り刺激的な作品になった。
ともに、性、エロスを煮詰めたような作品だが、坂東さんは「性に律せられた上で、社会や生活がある。性を通して社会を見ると、ヒトの営み自体が明確に見えてくる」と話す。
『恍惚』は古代から現代に至るまでの女性の性の変遷を描いた。いわば“性史”をひもといたかたち。一方の『欲情』は現代の女性と、その性の状況を、日本とポルトガルの視野から位置づけようとした作品。『恍惚』として連綿と続いてきた性の営みの縦軸を、現代社会という横軸で切ったのが『欲情』といえる。順序があるわけではないが、『恍惚』から『欲情』という順に読むと、物語が説得力を帯び、登場人物がどこか融合しているようにも読めてくる。