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【週末読む、観る】森洋子さんインタビュー&大森望さんの読書日記etc (2/5ページ)

2008.4.6 09:33
このニュースのトピックス週末読む・観る

私の本棚 翻訳家、書評家 大森望

 3月1日

 綾辻行人の新刊『深泥丘奇談』が届く。凝りに凝った装幀(そうてい)は祖父江慎。TBS「情熱大陸」で、祖父江さんがこの本の装幀プランを熱く語り、製本所の担当者を不思議な話術で説得する場面を見て以来、どんな本になるか楽しみにしてたんですが、いや、これはすごい。カバーをはずすと、表紙部分が裏表逆さまに綴(と)じてあって、芯(しん)ボールがむきだし……とか書いてもイメージしにくいと思うので、ぜひ原物を手にとってください。本文にも祖父江さん直筆の挿絵がちょこちょこ入り(ときどきカラー)、なんともラブリー。ここまで好き放題やって税込1659円というのもすばらしい。

 中身の方は著者本人を思わせる40代の本格ミステリ作家を主人公にした連作怪談集。といっても怖さを追求するのではなく、体の不調や記憶力の減退をネタにした自虐的ギャグをちりばめたユーモラスな作風。中年アヤツジの新境地か。綾辻氏とは同年配なので妙に身につまされます。

 3月12日

 SFの新刊をまとめて消化。意外だったのは小川一水『妙なる技の乙女たち』。時は2050年、舞台は軌道エレベーターが建設された赤道直下のリンガ島−−といってもバリバリの宇宙SFじゃなくて、異色のワーキングガール連作集。近未来SF設定のお仕事小説という発想がおもしろい。

 3月17日

 カナダのミステリ作家、ジェイムズ・パウエル初の邦訳書『道化の町』。森英俊編の短編傑作選で、「愚か者のバス」に爆笑。各国の諜報(ちようほう)機関が無能なスパイを一気に処理しようと、役立たずばかり集めてバスに乗せる。転落事故を装って殺すはずが、車内で謎の連続殺人が……。無能揃(ぞろ)いなのでなかなか犯人が捕まらないお粗末。“金の卵を産む雌鶏”盗難事件を描く「魔法の国の盗人」など、他にも妙な話がいろいろ。

 3月19日

 子供を保育園に送ってから、駅前のドトールでコーヒーを飲んでいたら、新聞社から携帯に着信。アーサー・C・クラークが亡くなったとのこと。以前、雑誌の取材でスリランカの豪邸を訪ねたことがあるだけに感慨深い。報道の大きさに、あらためてクラークの偉大さを実感。ちなみに、いちばん最近読んだクラーク作品は『幼年期の終わり』。SFオールタイムベスト3に入る名作だが、昨秋、光文社古典新訳文庫から池田真紀子の新訳が出た。今も輝きを失わない先見性に驚嘆する。

 3月31日

 著者から「たまには書評しろ」とドーカツされたので、あわてて門田隆将『甲子園への遺言』を読む。プロ野球伝説の打撃コーチ、高畠導宏の生涯を綴(つづ)る力強い好著。NHKドラマの原案となったこともあり、12万部を突破したとか。著者は土佐高校の1年先輩でおまけに某出版社同期入社の仲。私は8年で辞めたが、門田氏は辣腕(らつわん)週刊誌記者として25年勤め、ついに本日付で退職するという。49歳の門出に拍手を送りたい。

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