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【青雲の大和】(150)樹下の誓い (1/2ページ)
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「じつは請安(しょうあん)先生は、唐帝李世民(りせいみん)に会いたいとおっしゃっているのです」
鎌足(かまたり)のこの話に鋭く反応したのは、日文(にちもん)だった。
「正気なのか、それ」
「わたしのみましたかぎり、正気も正気、思いつめておられるのではないかとみえるほど、真剣なお話でした」
「で、唐帝に謁(えつ)してどうしょうというのだろう」
「はっきりとはいわれませんでしたが、自分は自分のやり方でこの大和の国を救いたい、という意味のことを幾度となく話されました。国博士(くにはかせ)の仕事は、お二人にまかせたいということでございます」
国家の最高顧問である国博士への就任を請安がことわったのは、玄理もきかされていた。
−−考えるところがあって、
ということだったらしいが、これが辞退の理由だったようである。
「しかし、自分のやり方でといっても、まず唐へ渡れるのかどうかだ。むろんいま、このような情勢で、勅使をだすおつもりはございませんでしょう」
玄理が中大兄(なかのおおえ)にむかっていうと、鎌足がひきとって、
「勅使はむりでありましても、非公式なかたちでしたら、可能ではないかと思われます」
と答え、
「つきましては、具体的になにをなさろうとしているのか、お二人で請安先生にきいていただけませんでしょうか」
といった。その目的さえはっきりしておれば唐へだせるという、新政権中枢の内臣(ないしん)としての判断である。
「よろしい、これから南淵(みなぶち)へ行って確かめてこよう」
そういう日文の顔には、めずらしくいらだちの表情がうかんでいる。なにを考えているのかわからない請安に、いささか腹をたてているようである。
「玄理師(げんりし)も行っていただけますか」
鎌足がきく。