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追悼アーサー・C・クラーク 20世紀そのものを牽引 (1/2ページ)
慶応大学文学部教授 巽孝之(たつみ・たかゆき)
クラーク死去のニュースが一瞬にして世界中を駆けめぐり、追悼記事がやりとりされる−−まさにこの衛星通信網、すなわちインターネットに結実する未来を、クラークは1945年に「地球外中継」という論考で予測していた。その意味で、われわれはいま、すっかりクラーク化してしまった日常世界を何の疑いもなく生きている。
げんに名監督スタンリー・キューブリックとの共作になる代表作「2001年宇宙の旅」(1968年)も、69年のアポロ11号による月面初着陸に1年先駆けていた。あの映画における月面活動があまりにも精巧に撮影されていたために、いまもなお、アポロの月面初着陸自体がアメリカ航空宇宙局が映像技術を駆使したうえのでっちあげではなかったか、という珍説が後を絶たない。
とうにクラーク的SFが現実化してしまった電脳社会ならではの発想といえようか。しかし作家クラーク自身は、むしろ地球外の知的生命体の存在をかたく信じ、人類が未知の地球外生命体とコンタクトを取りコミュニケーションを図ることを、飽くことなく探究した人物だった。われわれはこの広い宇宙で孤独ではないということを、ロマンチックなまでに証明しようとした人だった。

