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【青雲の大和】(135)大義はわれに (1/2ページ)
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父の大臣(おおおみ)、蘇我蝦夷(そがのえみし)のもとにはこばれていく入鹿(いるか)の遺骸を見送って、鎌足(かまたり)が甘樫丘(あまかしのおか)から法興寺の本営にもどってみると、おびただしい数の兵が暗夜にうごめき、攻撃のための配置換えがおこなわれていた。
「これはどういうことでございますか」
かがり火が勢いよくもえる金堂(こんどう)のまえの帷幕(いばく)にはいって、鎌足は中大兄皇子(なかのおおえのおうじ)にきいた。
「おう、鎌足、もどったか」
中大兄のひきしまった顔に、笑みがうかんでいる。けさ未明から動きづめに動き、入鹿を斬殺したあとは法興寺に移って打倒蘇我の本陣づくりにとりくんできた。それでも二十歳(はたち)の皇子の若い体躯(たいく)には、疲労の翳(かげ)りもうかがえない。
「じつは夜明けを期して攻撃を仕掛けてやろうと思ってな、部隊を動かしているところだ」
意気軒昂(けんこう)として勝利を確信している顔である。
「皇子(みこ)、命令はもう下されましたか」
鎌足はきいた。
「いや、これからだ。鎌足に諮(はか)らずやるわけにいかんだろう」
「それでしたら、少し待っていただきたいのですが」
「どういうことだ」
果敢ではあるが、いささか短気なところのある中大兄は、焦(じ)れったそうにいった。
「いま、甘樫丘の正門のまえまでいって、蘇我のようすをみてまいりました」
「なんと、乗りこんだのか、敵陣に」