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【青雲の大和】(131)決行 (1/2ページ)
このニュースのトピックス:青雲の大和
法興寺(ほうこうじ)の正門である南大門を閉ざすと、槍をかまえた兵を壁に沿って配し、塀をのりこえてくる敵にそなえるとともに、西大門の勝麻呂(かつまろ)の部隊の応援をもとめるべく部下を走らせた。
子麻呂(こまろ)自身は南大門の屋根にのぼって指揮をとるつもりである。
白壁の塀のうえから外をうかがうと、松明(たいまつ)はいっそう数を増し、武装した兵団は槻(つき)の広場から徐々に近づいてくる。
先頭に騎乗した将の姿があった。松明をかかげた歩兵が両側にしたがっている。
ふしぎなのは将兵三人がこちらの射程にはいっても、歩みを止めないことだった。
「なにをやっておるか」
そのとき背後で、西大門からきた勝麻呂の叱声(しっせい)がきこえた。
「はやく兵を整列させろ」
みると、勝麻呂のうしろに鎌足(かまたり)が立っていた。
さらに中門のまえに、中大兄皇子(なかのおおえのおうじ)と軽皇子(かるのみこ)、阿倍内麻呂(あべのうちまろ)がならび、かがり火の照明をうけてこちらをみつめている。
あわてて飛び降りた子麻呂のもとへ、鎌足がゆっくりと近づいてきた。
「門をあけて、皆で迎えてくれ。あれは大伴(おおとも)の兵だ」
鎌足の伯父、大伴長徳(ながとこ)が中大兄皇子を護るべくひきいてきた軍団だというのである。鎌足とのあいだで、決起まえに話がついていたらしいことを知ると、子麻呂はおのれの軽率さに恥じ入りながら、部下に指示して門をあけ、兵を整列させた。
甲冑(かっちゅう)をつけた大伴長徳は、南大門のまえで馬を降りたあと、鎌足に目礼しただけで左右にならぶ兵には眼もくれず、まっすぐに中大兄のまえに進みでた。