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【青雲の大和】(69)盟邦の危機 (1/2ページ)

2008.2.6 11:22
このニュースのトピックス青雲の大和

 出迎えの者への挨拶を終え、難波(なにわ)の港に近い宿舎で玄理(くろまろ)と二人きりになると、道登(どうとう)はすぐ同僚の鞍作得志(くらつくりのとくし)について話しだした。

「たいへんなことになりました。おそらくは消されたのだと思います」

 低く押し殺した声がふるえている。

「消された? 死んだのか」

「遺体は確認しておりませんが、死んだことはまちがいありません」

「きっちり話してみよ、なにがあったのだ」

 その才能をみこんで、玄理が高句麗への留学生に推した英才である。

「正確なところはなにもわかっていないのですが、得志は二度、唐へ行っております。かなり長期にわたる滞在で、わたしもずいぶん心配したものです」

 留学生活が軌道にのると、得志は医学を、道登は河に橋をわたす技術など土木関係を中心に専門的な勉強をはじめた。いずれも高句麗より、唐のほうがいちだんと進んでいる。

「学に秀でた得志は、すぐに高麗(こま)の技術ではあきたらなくなって、あたらしい知識をえるために唐へ行ったにちがいないと、わたしは思っておりました。いや、わたしだけでなく、皆そう思いこんでいたようです」

「ちがったのか」

「唐に二度までもはいりこんで、なにをしていたのか。そこに得志が消される理由があったのだと思うのです」

 じつは高句麗王室の依頼をうけて行った疑いがある、というのである。

 いま、高句麗は権力をうばいとった泉蓋金(いりかすみ)の専制下にある。王(宝藏(ほうぞう)王)は政変で殺された先代の弟の子であるが、泉蓋金がかたちのうえだけ王位につけた飾り物にすぎない。

 留学生として勉学にはげむかたわら、得志は王室に接近し深い関係をもつようになった。

「ここからは推測でありますが、高麗(こま)王室は泉蓋金を倒すため、ひそかに唐と手をむすぼうとしたのではないかと思われます」

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