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【週末読む、観る】◇書評倶楽部◇デザイナー 森英恵 地球を食べ、地球を飲む
『water [水‥mizu]』佐藤卓企画、竹村真一構成・執筆(ワールドフォトプレス・2000円)
地球は水球、地球の水の97%は海水。
この本は、水をあらゆる角度からみつめ、考えさせられる。文章や写真、アートディレクションが新鮮で美しい。
「木は立ちあがる水、森は宙に浮かぶ湖」−−冒頭のこんな表現に想像が広がる。都会のあちらこちら、緑が多くなった。街を歩きながら、それらが“立ちあがっている水”なのだと思うと、季節によって変わる街路樹の表情がいとおしく感じられる。
「あたりまえのように安全な水が飲めるのは、決してあたりまえではない」ということ。人間のからだはその70%が水でできていて、だから炎天下に立っていても、鉄でできた車のようには簡単に熱くならないと。「私たちは日々、地球を食べ、地球を飲んでいる」と、どっきりするようなフレーズも心に残る。私たちはそこに住む生物の一種だと改めて認識し、思いを巡らしたりする。
考えてみれば、朝から晩まで水なしでは暮らせない。おいしい、まずいと飲む水をあれこれ選んで、高価な水を買っている。無意識のうちに潤沢に使っていた水。日常を振り返り、大事にしなければとしみじみ反省した。
水は実用的なものというばかりではなく、古今東西、芸術の世界でもさまざまな形で表現されてきた。そんな水の姿も頭に浮かぶ。
この本は、表紙のページを開けるとまず写真で始まる。アフリカのモーリタニアでとらえた“見えない水”。それに、日本語と英語の文章。さらに解説がついている。文字を読むばかりでなく、内容を的確に見せ、感じさせる……従来の文字だけで読む本との違いが新しい。
「水」を通して、私たちの日常から世界を考える−−自然環境が大きなテーマの今の時代に、存在感のある一冊である。
(デザイナー 森英恵)
■もり・はなえ パリ・オートクチュール組合に属して活動を展開した唯一の東洋人デザイナー。