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【青雲の大和】(60)政略の夜 (1/2ページ)

2008.1.30 10:47
このニュースのトピックス青雲の大和

 山田麻呂(やまだのまろ)の屋敷から帰ってすぐ、鎌足(かまたり)は中大兄皇子(なかのおおえのおうじ)に会った。

 二人が師としている南淵請安(みなぶちのしょうあん)の学堂へむかう途中である。

「どうだった、蘇我(そが)の麻呂は」

 鎌足がなにもいわないさきに、中大兄のほうからきいてきた。

「首尾は上々でございます」

 鎌足はそんな答え方をした。あくまでこれは政略である。

「話はうまく進んでいるのだな」

「いまのところ、妨げになるものはなにもございません。急がれたほうがよろしいかと存じます」

「で、麻呂の長女(えひめ)だが、会ったか」

「会いました」

「どうだ、いい娘か」

 相手は妃(みめ)になる女性である。婿(むこ)としては、とうぜんの質問だった。

「それはもう……」

 といって、鎌足はあとをにごした。気になっている点については、いわなかった。翳(かげ)があるといっても、鎌足がそう感じただけのことかもしれない。美しい顔立ちで、皇子が気にいられるのは確かだった。

「ご覧になりますか」

「会えるのか」

「適当な口実をもうけて、麻呂に宮中へつれてこさせるようにいたしましょう。ただし、おめどおりねがって、もし難点がないようでしたら、ただちにお召し入れという運びにさせていただきますが、よろしいですか」

 情勢がさしせまっているのを、鎌足は肌で感じとっている。事態が動きだすまえに、権力をにぎる蘇我勢をなんとしても分断しておかねばならない。

「いいよ、進めてくれ」

 中大兄はあっさりといった。むろん、いまの情勢を理解したうえでのことであろうが、いっぽうで、

 −−そんないい女なら、

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