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【青雲の大和】(55)闘士帰る (1/2ページ)

2008.1.28 19:05
このニュースのトピックス青雲の大和

 津守(つもり)はそのことばの真意をさぐるように、主座の入鹿(いるか)をみすえた。

 −−われはやる。

 と、入鹿はいった。

 なにをやるというのか、ここははっきりとききだしておかねばならない。

「高麗(こま)におきましては、王を殺し、王の弟の子息を新たに王位につけました。これをどうご覧になりますでしょうか」

 むろんこの問いかけは、誘い水である。

「その新王はできる男か」

 入鹿はきいてきた。

「いえ、そうとは思われませぬ。おそらくは王座に立てかけた飾りもののつもりでございましょう。実権はすべて泉蓋金(いりかすみ)がにぎっております」

 津守が答えると、入鹿はちょっと考えてから、

「その泉蓋金なる者、なぜみずから王位につかなかったのか、である」

 と、自問するようにいった。

「その者には、敵が多いのか」

「それもあります。やりかたがいかにも非情で残忍なものですから、あの事件いらい皆、反感をつのらせております」

 入鹿が斑鳩(いかるが)の宮を急襲させ、太子一族をことごとく死に追いやった事件にからめたつもりで、津守は話した。

 入鹿はなにも感じていないふうで、

「民(たみ)とは、そういうものよ」

 と、一言で斬り捨て、

「それをおそれては、なにもできない。蓋金なる者、おのれに力があるならば、一日もはやく高麗の王位につくべきである」

 と、いいきった。

「二十八代つづきました高麗王室は、断絶することになりますが……」

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