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【青雲の大和】(55)闘士帰る (1/2ページ)
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津守(つもり)はそのことばの真意をさぐるように、主座の入鹿(いるか)をみすえた。
−−われはやる。
と、入鹿はいった。
なにをやるというのか、ここははっきりとききだしておかねばならない。
「高麗(こま)におきましては、王を殺し、王の弟の子息を新たに王位につけました。これをどうご覧になりますでしょうか」
むろんこの問いかけは、誘い水である。
「その新王はできる男か」
入鹿はきいてきた。
「いえ、そうとは思われませぬ。おそらくは王座に立てかけた飾りもののつもりでございましょう。実権はすべて泉蓋金(いりかすみ)がにぎっております」
津守が答えると、入鹿はちょっと考えてから、
「その泉蓋金なる者、なぜみずから王位につかなかったのか、である」
と、自問するようにいった。
「その者には、敵が多いのか」
「それもあります。やりかたがいかにも非情で残忍なものですから、あの事件いらい皆、反感をつのらせております」
入鹿が斑鳩(いかるが)の宮を急襲させ、太子一族をことごとく死に追いやった事件にからめたつもりで、津守は話した。
入鹿はなにも感じていないふうで、
「民(たみ)とは、そういうものよ」
と、一言で斬り捨て、
「それをおそれては、なにもできない。蓋金なる者、おのれに力があるならば、一日もはやく高麗の王位につくべきである」
と、いいきった。
「二十八代つづきました高麗王室は、断絶することになりますが……」