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【創造者たち】桜庭一樹 書いて出した分だけ読む (1/3ページ)
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「私の男」で第138回直木賞受賞 作家・36歳
「握手はだめ。そんなことをしていては勝てないよ」
1999年5月に開かれた新人クリエーターのコンテスト「第1回ファミ通エンタテインメント大賞(現エンターブレインえんため大賞)」の授賞式。ドラマ企画書部門の選考委員だった「機動戦士ガンダム」の富野由悠季監督が、受賞者との握手を促されて言った。競争の激しいエンターテインメントの世界に飛び込むなら、全員をライバルと見なし、研鑽(けんさん)を積むしかないということだ。
第138回直木賞を「私の男」(文芸春秋刊)で受賞した桜庭一樹さんは、この「第1回エンタメ大賞」で小説部門の佳作を受賞しデビューした。それから8年。ティーンの読者が中心のライトノベルで作品を発表しながら積んだ努力と経験が、エンターテインメント作家として最高と目されるタイトルを勝ち取らせた。
父と娘の情愛を描いた受賞作は、選考委員から反道徳的だと指摘された。しかし「家族のきずなとは、他人とのかかわりとは違うきずなで、良くも悪くも意識せざるを得ない。極端な形と取れるけれど、とても普遍的なテーマだ」と静かに語る。