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【青雲の大和】(33)斑鳩の惨劇 (1/2ページ)

2008.1.17 17:25
このニュースのトピックス青雲の大和

 館(やかた)に駆けこんできた子麻呂(こまろ)と網田(あみた)をみて、鎌足(かまたり)は奥の自室にふたりを招じ入れた。斑鳩(いかるが)の惨劇をすでに知っているようすである。

「で、ご一族のうち幾人(いくたり)が果てられたのか」

 子麻呂が皇居板蓋(いたぶき)の宮で高向国押(たかむこのくにおし)からきいたことをかいつまんで報告すると、その点だけを鎌足は質(ただ)した。

「山背大兄(やましろのおおえ)ほか、ご一族はことごとく亡くなられたときいておりますが、詳細については蘇我(そが)もつかんでいないもようです」

 子麻呂が答えるのをうけて、網田がよこから、

「鎌足どのはゆるされるのでありますか、この大罪を」

 と、声をとがらせていった。

「そのことだが、考えるところがあって、なおしばらくは蘇我に同調するかたちをとりたい」

 鎌足は冷静だった。ゆうぜんとしたその顔を網田が、じっとみつめている。

「蘇我に同調するということは、あえて罪をとわないというふうに理解してよろしいのでしょうか」

 網田の思いを代弁するつもりで、子麻呂はきいた。

「世間がそうみるようにしたい、ということである」

 子麻呂には、その意味がよくわからない。

「つまり、あえて罪をとわず蘇我と手を組んでいく、そういうおつもりなので……」

「さよう、世間がそう思いこむようにもっていきたいので、きみら二人もそのようにふるまってもらいたい」

「いつまでつづけるのですか」

 網田はやはり不満げである。

「だから、皆がそう思いこむようになるまでだ」

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