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【週末読む、観る】著者に聞きたい 鈴木孝夫さん 『私は、こう考えるのだが。』(人文書館・1890円) 

2008.1.13 11:09
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鈴木孝夫(すずき・たかお)さん鈴木孝夫(すずき・たかお)さん

■原因は「先進国の物狂い」

 「自分の倫理観や世界観から日本の世相を眺めると、とても正常とは思えないことが多すぎる」と鈴木さんは啖呵(たんか)を切る。本書は、言葉、教育、精神、さらには環境をめぐって、ことあるごとにつづってきた断想をまとめたものである。

 言うまでもなく鈴木さんは社会言語学の世界的権威。その一方で、日本野鳥の会顧問という顔も持つ。1年の半分を軽井沢の山荘で過ごし、クマが冬眠に入るころ、東京の自宅に戻るという暮らしを続けている。

 「初夏の軽井沢を散歩すれば、以前なら100種以上の鳥に出合うことができました。いまでは20〜30種がせいぜい。つまり東南アジアやシベリアの自然が破壊されているということです。でも彼らに《自然を守れ》なんてとても言えませんよ。日本をはじめとする先進国の物狂いの文明にこそ原因があるからです」

 《人間は繁栄の頂上を極めた》が持論である。

 「今こそ人類は経済を縮小し、人口を減らすべき。その結果として文明の大幅な後退はやむを得ない。もうわれわれには降りるしか残された道はないのです」

 日本では少子化が問題とされ、歯止めをかけることにのみ関心が向いているが、その前に日本の適正人口規模がどれほどなのかを、真剣に議論する必要があると強調する。と同時に、人にはどれだけの物が必要か、ひとりひとりが自分の暮らしを再点検すべきだとも。

 「人間は裸では暮らせません。そういった意味で物は必要です。でもある限界を超えたら、物は人間を絞め殺してきます。多すぎるカネは人間を不幸にし、過ぎた便利は人間の体を悪くします。いまの文明は損益分岐点をとっくに超えています」 

 鈴木さんは自身の哲学を地球を救うための原理、すなわち「地救原理」と命名する。その出発点こそ《人にはどれだけの物が必要か》という自身への問いかけなのだ。(桑原聡)

【プロフィル】すずき・たかお

 言語社会学者。慶応大学名誉教授。大正15年、東京都生まれ。慶応大学医学部予科修了後、同大文学部卒。著書に『ことばと文化』『ことばと社会』など。

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