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【青雲の大和】(23)入鹿と鎌足 (1/2ページ)
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「で、こんどはなにをしていたんだ、三島(みしま)にひきこもって」
入鹿(いるか)は軽く揶揄(やゆ)する調子を変えずにいった。
「少々、考えるところがあってね」
鎌足(かまたり)はまともに応じた。三十歳に達したいま、師の教えを生かし、いよいよ天下のために働かねばならないと考え、いわば大和の新しい国家建設案をねりあげていたのである。
「わかる、鎌足の考えていることが」
「わかりますか」
「わかる、同門だからな。旻師(みんし)の教えを実地にやろうというのだろう」
頭が切れる入鹿は、ずばり勘を的中させた。
「もしそうであるなら、われと一緒にやらんか」
なにを答えるまもない、すばやい追い打ちである。
「われは皇帝になる。唐帝李世民(りせいみん)と同じく絶対の権力をにぎる。その権力をつかって、鎌足が師の教えをくんだ理想の国家をこの大和に実現する。どうだ、やらんか」
鎌足をのぞきこむ眼は真剣だった。しかもそこに、どうにも打ち消しがたい鎌足への友愛の思いがこもっているのをみて、鎌足は二重の衝撃をうけた。
「わたしも正直にもうしあげよう。むかし、あなたと組んで師の教えどおり、大和の改革にとりくみたいと考えたことがあった」
ここで話をあいまいにして妥協してしまうのは、かえって友への裏切りになる、そういう思いで鎌足もまた真剣に話しだした。