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【青雲の大和】(20)入鹿と鎌足 (2/2ページ)
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「ちょっと、待ってほしい」
天皇位はこれまで、この国では絶対とされてきている。大和の国で天皇(大君)が在位の途中で替わったことは史上、一度もないはずである。
「太郎どの、あなたがいわんとしているのは、いまの大君を位からおろし、古人大兄をたてるということか」
内心のおどろきを抑えて、鎌足は冷静に入鹿のねらうところのものをひきだそうとした。
「とりあえずは、そうなる。とりあえずそれでようすをみて、つぎを判断する」
「つぎに、どうしようというのだ」
旻師(みんし)の学堂で、
−−蘇我太郎に如(し)くはなし、
と、師にいわしめた入鹿である。その才知のおもむくところ、なにがとびだしてくるか。しかも、入鹿がいいだせば、その構想はたんなる思いつきではなく、絶大な蘇我の権力によって裏打ちがなされているという恐ろしさがあった。
「鎌足よ、われはきみを信じている。信じているから、こういうことも明かせるのだ」
入鹿はそういって、しばらく考え、
「古人大兄でようすをみて、どうしてもうまくいかなければ、ついにはわれが皇位につく」
と、早口に言い切った。