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【青雲の大和】(17)入鹿と鎌足 (1/2ページ)
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−−できる。
と、鎌足(かまたり)は思っている。
蘇我(そが)の大臣(おおおみ)の絶大な権力を動かすことは、鎌足にはできない。しかし、父蝦夷(えみし)から事実上、大臣の地位をゆずりうけた入鹿(いるか)を友誼(ゆうぎ)をもって説得し、考え方をあらためさせることなら、じゅうぶんに可能である。
入鹿とは、いまも心がかよいあうものがあった。少なくとも鎌足は、そう信じている。二十歳(はたち)前後の希望にあふれる輝かしい青年期に、二人は旻師(みんし)の学堂で机をならべ、勉学の研鑽(けんさん)をつんだ仲である。
たがいの長所も欠点も知りつくしていた。入鹿には鎌足にないものがあった。頭の回転の速さと些事(さじ)にこだわらない決断力である。逆にいえば、大事なことを切り捨ててかえりみないということでは短所、あるいは欠点ともいえるものであるが、鎌足は入鹿のこの大胆さが好きだった。
鎌足自身はつねに慎重に綿密に考え、そののちに決断にいたるという性格である。あえていえば、
−−鈍重にしか動けない、
と、自分では思っている。
であれば、入鹿と組んで二人の能力と特質を最大限に生かしつつ、天下万民のためになにごとかを成せないか、と夢想した時期もあった。
入鹿と組めば、絶対的な蘇我の権力を使えるのである。権力をもって権力そのものをぶっ潰(つぶ)すということも、大胆に突っ走る入鹿の決断力をもちいるなら可能ではないか、と考えてみたのである。
大志をいだく若者が夢みる幻想にすぎない、といえばそれまでだが、この計画にはただひとつ、現実的な条件がそなわっていた。