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【青雲の大和】(15)入鹿と鎌足 (1/2ページ)
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鎌足(かまたり)の進言に愁眉(しゅうび)をひらいた面(おも)もちで、三輪文屋(みわのふみや)が生駒(いこま)に帰っていったあと半日経(た)って、斑鳩(いかるが)の状況をさぐりにいっていた佐伯子麻呂(さえきのこまろ)が馬を駆(か)ってもどってきた。
「蘇我(そが)の焼き打ちにより山背大兄(やましろのおおえ)、あえなく焼死して果てられました」
住吉(すみのえ)の大伴(おおとも)邸にとびこんできた子麻呂は、大伴の当主、長徳(ながとこ)と鎌足のまえにひざをつき、眼を怒らせて報告した。
「なんだと」
長徳が顔色を変えた。
「汝(いまし)、それ確めてみたか」
「総大将の巨勢徳太(こせのとこだ)どのが大殿(おおとの)の焼け跡で確認したそうであります。まちがいなしとして、けさ、いっせいに兵をひき、いまは斑鳩の宮に蘇我勢は一兵も残っておりません」
驚愕(きょうがく)の眼をみひらいて、長徳が鎌足をみた。鎌足はしずかにそれを抑え、
「くわしく説明してもらおうか」
と、子麻呂にむかい、
「蘇我が斑鳩の宮を急襲したとき、山背大兄は大殿のなかにこもっておられたというわけだな」
と、きいた。
「そのようです」
「蘇我兵が火を放ったのは?」
「きのう、十一月一日の夜であります。わたしはもちろん、みておりませんが」
子麻呂がここ住吉の大伴邸を馬でとびだしていったのは、昨夜、かなり遅くなってからである。
「大殿が焼け落ちたあと、わたしは斑鳩に着きました。巨勢どのは夜が明けるのを待って、みずから現場に足をはこび、確認されたということであります」
「なにを確認したのか」
「大兄皇子(おおえのみこ)のご遺体です」
「ご遺体そのものが、焼け跡に残っていたというのか」