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【青雲の大和】(4)急襲 (1/2ページ)
このニュースのトピックス:青雲の大和
子麻呂(こまろ)は上背がある。武門の佐伯(さえき)の郎党でも、ひときわめだつ偉丈夫である。
網田(あみた)は上背ではわずかに劣るが、胸幅あつく、がっしりとした肩に肉がもりあがって、ひとを威圧する迫力があった。
ふたりが皇居の巨大な屋根つきの南門を背に立ちはだかると、傲岸(ごうがん)にわめいていた男が、一瞬たじろいであとずさった。
「名をきこう」
網田が一歩ふみだしていった。
「われは蘇我(そが)の使いであるぞ」
男が歯をむきだしにして、脅しをかけてくる。
「その荷はなにか」
「きさまら小物にいう必要はないわ」
「では、あらためさせてもらう」
網田は男を押しのけるようにして、菰(こも)をかぶせた荷車のそばにふみこんだ。子麻呂は援護すべく網田の背についている。
網田が力をこめ菰をひきはがすと、下からあらわれたのは大量に積みこまれた兵器だった。
弓矢に槍(やり)、楯(たて)、剣、いずれも一見して、皇居の兵庫(ひょうご)(武器庫)に保管されていたものとわかる。
「どういうことか説明してもらおうか」
網田がいった。
門衛が松明(たいまつ)をかかげてきて、黒装束の男たちを照らしだしている。荷車のまえに一人、左右に四人。いずれも無冠である。
「だから蘇我の命(めい)だといっておる。きさまらが関(かか)わることではないわ」
頭目(とうもく)の男はいきりたっていった。
「ここは大君のいます板蓋(いたぶき)の宮である。蘇我の命では門はあけられぬ」
男の威丈高(いたけだか)な脅しにも、網田の対応はゆるがない。
それをみて、男はわずかに声をやわらげ、
「高向(たかむこ)どのには話をとおしてある。なんならきいてみよ」
と、折れて出た。