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【週末読む、観る】『新しい神の国』 (1/2ページ)
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■古田博司著『新しい神の国』(ちくま新書・735円)
何とも刺激的で楽しい本だ。著者のハワイ大学遊学時代の回顧から始まるが、ハワイ出雲大社で知り合った日系住民に神道の講義をし、《「オオクニヌシは二度復活した。イエスなどの及ぶところではない」と、教えてあげると、「レアリー!」と叫んで、大感動であった。》という件など思わず吹き出してしまった。この粋で洒脱(しゃだつ)な感覚は、碩学(せきがく)の東洋史研究家を支える一面であり、本書にしばしば登場する「ティーゼイション」(茶化し)という言葉の重要性をほのめかす。
遊び心を知っている著者は、北東アジアの複雑な状況を歴史を繙(ひもと)きながら説明し、日本がいわゆるアジアと異なった文化圏にあることを明確にする。しかも、戦後思想史にまで分け入って、左翼言論の異常な発展史を検証するのだが、読者は肩を凝らすことなく頁(ページ)を繰ることができる。それは、著者の論理の強靭(きょうじん)さと感度の良い粋な目配せの絶妙なブレンドが読者を惹(ひ)きつけるからだ。
粋な目配せとは、例えば2ちゃんねるに関する北田暁大氏の論文に触れ、日本の新しい愛国心の芽生えを批判するスキーム違いの〈サヨク〉アカデミズムを断罪することだ。それは、かねて著者が主張する、近代以前の支那と近代真っ最中の韓国、中世の北朝鮮という特定アジアが、脱近代の日本とのタイムラグゆえ反日を生きる糧としていることと同じ構図なのだ。日本は反日されることが宿命づけられているのだからなるべく距離を置くべきと主張し、脱亜論ならぬ「別亜論」が提示される。