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【青雲の大和】(205)新羅の砦 (2/3ページ)
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それによれば、廉宗なる人物はもっかのところ、徳曼女王の忠実な臣下として表むき献身的にはたらいているということで、新羅の使者自身が女王廃位の策謀についてはなにも気づいていないらしい。
「その者の話をきいていますと、請安先生が唐でつかんでこられたこと自体がなにかのまちがいではないかと、このわたしでさえ、そんなふうに思ってしまうほどであります。廉宗なる者、よほど慎重に動いているとみなければなりません」
とすると、反女王派は極秘裏にことを進め、昨年六月に中大兄皇子(なかのおおえのおうじ)と鎌足(かまたり)がやったように、瞬時にして権力をうばいとってしまうかもしれないのである。
「うむ、よく調べてくれた」
玄理はいった。この短時間に新羅の王室をめぐる動きを的確につかんでくるのは、鎌足がみこんだとおり、文麻呂の卓越した能力であろうと思わざるをえない。
「もうひとつ、ご報告しなければならないことがございます」
文麻呂はつけくわえた。
「昨夜、早舟が一艘(いっそう)、難波津(なにわづ)を発(た)って新羅へむかいました。大使のご訪問を急報するためであるのはまちがいございません」
「それはどっちだ、女王派か反女王派か」