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初の無料文庫本「ゲドを読む。」110万部配布

2007.9.25 02:27
このニュースのトピックスジブリアニメ

 無料文庫本が書店に並ぶ!? 実は文庫本形態の新手のPR手法だ。DVD販売などを手掛けるブエナビスタホームエンターテイメント(東京都港区)は6月6日、昨年映画化され、話題になった「ゲド戦記」の魅力を紹介した文庫本「ゲドを読む。」を、全国書店で110万部無料配布する。無料文庫本は日本初。

 原作全6巻(アーシュラ・K・ル=グウィン著、岩波書店)の魅力を伝えることで、映画化した「ゲド戦記」(スタジオジブリ製作、宮崎吾朗(みやざき・ごろう)監督)と、ブエナビスタが7月4日に発売する映画のDVDの関心を高めるのが狙い。文庫本形態の広告と位置付けており、今後出版界への影響も注目される。

 「ゲドを読む。」は208ページの3部構成。第1部は人類学者・中沢新一(なかざわ・しんいち)さんの「『ゲド戦記』の愉(たの)しみ方」を所収。文化人類学者の父、作家の母を持つ著者グウィンさんの育った環境や原作が出版された1968年の時代をつづり、作品の背景を解説。

 第2部は原作6巻から心に染みる言葉16本を紹介。第3部は原作の翻訳者・清水真砂子(しみず・まさこ)さんへのインタビュー、心理学者と宮崎吾朗監督の対談や、アニメ映画監督・宮崎駿(はやお)さんらの「ゲド戦記」論などを掲載した。

 装丁は、キリンビールの「極生」などで知られる人気アートディレクター佐藤可士和(さとう・かしわ)さんが担当。表紙の色は黒、赤、黄、ピンク、水色の5種類で、普段本を読む習慣のない人にも手にとってもらえるよう工夫した。

 近年、DVDの価格破壊が進み、作品性より低価格帯をプロモーションする業界の動向に一石を投じそうだ。(堀口葉子)

 世界観を知って

 今回、プロデューサーを担当した糸井重里(いとい・しげさと)さんは「『ゲドを読む。』を読んで『ゲド戦記』という物語や、それをもとにつくられた本や映画や歌が気に入ってくれたら」とコメント。

 ブエナビスタの塚越隆行(つかごし・たかゆき)日本代表は「『ゲド戦記』本来の世界観を楽しんでもらうには、作品自体の背景をわかってもらうことが大切。そのため、アニメでのPRを推すのではなく本という形にこだわった」という。

 また、無料文庫本を配布する紀伊國屋新宿本店の山田拓也課長は「原作6巻は高額(1万3650円)なため手が出しにくい。無料文庫本が原作購入の入り口になれば」と期待を寄せる。

 出版関連の調査研究機関「全国出版協会・出版科学研究所」(東京都新宿区)は、「無料文庫本が配布されることは初耳。また商品が特殊のためコメントできないが、国民的人気作品が多いスタジオジブリの仕掛けというだけで、手に取る人が多いのでは」と話していた。

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