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【写眼】芝田満之「海へ…」(1990年代初め) 夕日の魅力が凝縮 (1/2ページ)
夕日は人の視線を誘惑する。カメラマンの芝田満之(53)も、暮れなずむ砂浜で、きらめく太陽にカメラを向けていた。夏のカリフォルニア。サーフィンや海辺の様子を撮ったあと、「沈む太陽に人が入る場所を探していて、ここを見つけた」という。
三脚を立て、1200ミリの超望遠レンズで、その時を待つ。しばらくすると、視界の両端から男女が同時に現れた。向かい合い、語り合う2人。握手を交わし、抱き合った瞬間、顔のシルエットが近づいて…。
「映画のようなシーン。撮りながらものすごく興奮したことを覚えています。写真をあげたくて追いかけたのですが、距離が遠くて」。撮影後、太陽は大地と海の間に消え、闇が迫ってきたという。
21歳のとき、日本初のサーフィン専門誌「サーフマガジン」で、プロのカメラマンに。以来、10年ほどはサーフィンばかりを追いかけてきたが、今ではポートレートや風景など被写体は多岐にわたる。「現実を撮るだけではつまらない。見る人に、さまざまなストーリーが浮かぶような写真を撮りたい」
黄昏(たそがれ)の中で重なる2人の姿が何ともほほえましい。男性に腰を強く抱かれ、きれいなアーチを描いた女性の背中から、恋に焦がれる気持ちが伝わってくる。瞳は向き合ったままだ。恋人同士の前では、夕日の“磁力”もきっと効かないのだろう。(堀晃和)

