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【ムツゴロウのいのち万華鏡】北極圏 サンタの町にやって来た (1/7ページ)
■シーン1
耳が鳴る。車は、北へ北へと疾走していて、凍(い)てついた雪を高速で回転するタイヤが噛む音が、車内に充満していた。シートが細かく震動し、まるで飛行機に乗っているみたいだった。車内の会話が少なくなった。
私たちは、ヘルシンキを出発し、ロヴァニエミを目ざしていた。そこは、ここから北は北極圏という町であり、サンタクロース・オフィスが置かれている。世界中からクリスマスカードが届き、サンタからも有料で返事が発送される。
外は、まったく見えなくなっていた。窓の内側から氷が張りついているのだ。車内にいる人間が発散する水分が、窓で凍ってしまうのである。
私は愛用のナイフ、ピューマを取り出し、氷を削ってみた。氷は想像以上に厚く、板になって剥(は)げ落ちてきた。
人ってすごいな、生きてるってすごいなと、妙なところで感心してしまう。これだけの水分を外に出して生きているんだ。
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